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初動全力!【物理・科学】適応火災と消火効果の組み合わせについて合格するためのポイントを解説する!乙種第4類(乙4)窒息、冷却、除去、抑制。
Contents
可燃物、酸素供給源、点火源を燃焼の3要素といいます。消火の際は、これらの内、どれか1つを取り除くことが直接の目的です。
代表的な消火効果を理解しよう!!
✔︎空気中の酸素濃度と石油製品の燃焼
・通常空気中には、約21%酸素が含まれており、これを燃焼に必要な酸素量以下(酸欠状態)にして消火する方法を窒息消火といいます。
・一般に石油製品は、空気中の酸素濃度が14%以下になると燃焼は継続しません。
✔︎代表的な窒息消化剤
・代表的な窒息消火剤として、二酸化炭素消火剤があります。
・二酸化炭素は、人が空気を吸って、吐く息にも含まれており、生物の呼吸や糖類の発酵によっても生成されます。
・第4類の引火性液体(有機化合物)の主成分である炭素(C)が十分な酸素を供給されて完全燃焼したときにも二酸化炭素は発生します。
・二酸化炭素は、空気より重い(1mol:44g)不燃性のガスで、冷却剤として使用されるドライアイスの成分でもあり、デパートでケーキなどを買って自宅まで持ち帰る際、家に着いてもびしょびしょになっていないのは、ドライアイスが昇華して二酸化炭素となり消えてしまったためです。
・二酸化炭素は、電気絶縁性に優れており電気設備の火災にも有効です。
・コンピュータールーム等で導電性のある泡消化剤や注水をすると機器類を壊してしまう恐れがあります。
・しかし、絶縁性の高い二酸化炭素は機器類を汚損させず、感電する恐れもなく使用できます。
・二酸化炭素自体に毒性はありませんが、狭い空間で高濃度の二酸化炭素消火剤を使用すると、酸欠状態になり人も死んでしまいます(窒息死)。
・人体にも影響するので、狭い空間で使用するときは、すべての人を退出させてから使用しないと危険です。
✔︎泡消火剤による窒息
・油火災に有効な泡消火剤は、発泡した泡で燃焼面を覆う窒息効果があり。タンパクの泡は熱に強い性質があります。
・ギヤー油等の第4石油類が引火した場合は、液温が非常に高くなるため、泡に含まれる水分が沸騰蒸発する恐れがあり注意が必要です。
・水溶性の鎖式化合物であるアルコールやアセトンに油火災に使用する一般の泡消化剤を使用すると火面を覆った泡が溶けて消えてしまうので注意が必要です。
・アルコールには耐アルコール用(水溶性液体用)の泡消火剤を使用します。
✔︎乾燥砂による窒息
・初期消火に有効な乾燥砂は、被せて火を消す窒息効果があり、高温で燃焼する金属火災でも有効です。
・引火性液体が大量に引火した場合は、完全に窒息するのが難しく、あまり有効ではありません。
・容器内にふたをして火を消すのも窒息効果となります。
✔︎冷却の方法
・熱源から熱を奪い、燃焼物を引火点または固体が熱分解する温度(可燃性ガスが発生する温度)以下にして消火する方法です。
・普通火災(木材等の火災)に注水するのは、比熱の大きい水が蒸発する際に状態変化にエネルギーが使われて(気化熱=蒸発熱により)、点火源を取り去る冷却効果です。
・山火事などで、消防車から放水するのもこれにあたります。
✔︎冷却の注意点
・冷却消火剤(棒状注水)は、基本的に油火災に使用できません。
・ガソリン火災に注水しても、引火点以下の液温に冷却することができません。
・燃えている油に水を用いると、浮いて燃焼面積が拡大してしまう恐れがあります。
・引火点が高い天ぷら油に引火した場合は、油温が非常に高温となっているため、注水すると沸騰蒸発して、油が飛び散り、霧状になると燃焼が拡大する恐れがあり危険です。
・強化液(炭酸カリウムの濃厚な水溶液)も油火災に棒状で使った場合、液比重が1より小さい石油製品は燃焼面積が拡大する恐れがあります。
・ろうそくを息で吹き消したり、ガスこんろの元栓を閉めるのは、除去効果による消火方法です。
・可燃物を取り去ることができれば、燃焼は継続しません。
✔︎抑制消火剤について
・ハロゲン化物消火剤は、窒息消火の他、負触媒作用(反応速度を化学的に下げる作用)によって消火します。
・負触媒作用による消火を抑制消火と言います。
・燃焼の継続を遮断するため、酸化反応に関係のない物質を加えることにより、酸化反応を遮断します。
(消火剤には、ハロン1301、1211および2402の他、2001年にオゾン層を破壊しない2種類の消火剤(HFC-23、HFC-227ea)が追加されました。また、ハロン1301、1211及び2402については、オゾン層破壊のため1994年から生産は全廃されました。)
✔︎抑制・窒息効果のある消火剤
・粉末消化剤も、窒息効果の他、抑制効果があります。
・リン酸塩類を主成分とする消火粉末は、粉末(ABC)消火器として広く使用されています。
・普通火災、油火災、電気火災にも適応します。
・リン酸アンモニウムが主成分で、薬剤はサーモンピンク色に着色されています。
・強化液は、炭酸カリウムの濃厚な水溶液、水の消火効果に加え再燃防止効果もあり、消火する際、抑制効果を有します。
・強化液の比重は、1.3~1.4、凝固点-25~-30℃と低く、使用温度-20~40℃で、寒冷地の使用に適しています。
✔︎注意点
・霧状にして使用すると、油火災や電気火災にも適応しますが、棒状で使用すると油火災や電気火災には使用できません。
・ハロゲン化物消火器は、窒息効果と抑制効果です。
・水や水に界面活性剤を添加し消火能力を高め、また不凍性を持たせています。
・界面活性剤を添加すると表面張力が下がり、流動性がよくなります。
・炭酸水素ナトリウム(重曹)に酸(硫酸)を加えると、二酸化炭素(炭酸ガス)が激しく発生します。このとき、薬液が冷却されまます。
・炭酸カリウムの濃厚な水溶液、比重1.3~1.4、凝固点-25~-30℃と低く、使用温度-20~40℃で、寒冷地の使用に適しています。
・外筒用薬剤A剤(炭酸水素ナトリウム)と内筒用薬剤B剤(硫酸アルミニウム)からなります。
・使用時にはA剤とB剤が反応し、二酸化炭素を含んだ多量の泡を発生放射します。放射された泡は粘着性に優れ、冷却作用と窒息作用により普通火災に適応し、燃焼面を覆うため窒息作用により油火災に適応します。・機械泡(空気泡)消火器は、消火剤として、合成界面活性剤または水成膜泡が水溶液として充填され、放射時に空気を混合して発泡します。
・拡散性に優れ、普通火災および油火災に適応します。
・耐アルコール泡(水溶性液体用泡)消火剤は、アルコフォームともいわれ、タンパクと界面活性剤を主剤とするもので、泡を溶解する水溶性危険物(アルコール、アセトンなど)の火災に使用します。
・圧縮液化された二酸化炭素のガス状放射による窒息効果と蒸発する時の冷却作用を利用します。
・空気より重い(蒸気比重は1より大きい:二酸化炭素は1molの質量44g)ので、不活性ガスで燃焼物を覆います。
・密閉された室内では、酸欠状態になる危険性があります。
・二酸化炭素消火器の外面は、半分以上が緑色、残りが赤色となっています。
・リン酸アンモニウム(リン酸塩類)が主成分で、薬剤はサーモンピンク色に着色されています。
・炭酸水素ナトリウムが主成分で、薬剤の色は紫色です。
・炭酸水素ナトリウムと尿素が主成分で、薬剤の色は灰色(白色)です。
・簡易消火用具として定められています。
・水バケツと水槽は普通火災に、乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩はすべての火災に適応します。
・白 → 普通火災(木材、紙、繊維などの火災)・黄 → 油火災(石油、可燃性液体などの火災)・青 → 電気火災(変圧器、配電盤などの電気設備の火災)
① 普通火災用 普通可燃物(木材、紙、繊維など)の火災 → A火災 ② 油火災用 引火性液体などの油火災 → B火災 ③ 電気火災用 電線、変圧器、モーターなどの火災 → C火災
・消火器具は、防火対象物の階ごとに設置し、建築物その他の工作物に設置する場合、防火対象物から消火器までの歩行距離20m以下(大型消火器30m以下)となるように設置します。
A火災(一般火災、普通火災)は白色の円B火災(油火災)は黄色の円C火災(電気火災)は青色の円が
それぞれ使用できる消火器に標識として表示されています。
・石油ストーブに灯油を詰め替える場合、通常の取扱い方法では、燃焼可能な蒸気は発生しません。しかし、液温が40℃以上に加熱すると燃焼するのに十分な濃度の蒸気を発生し始めるので、引火の危険性があります。
・常温(20℃)で引火しない引火性液体でも、綿糸に染みこませると容易に着火します。霧状にしても燃えやすくなります。
・ポリ容器に収納した灯油を保管していても、直射日光程度の熱では自然発火する恐れはありません。(一般的な石油製品の発火点は100℃よりはるかに高いので自然発火はおこりにくい。
・灯油の発火点は約220℃程度)しかし揮発性の低い灯油でも、ガソリン蒸気のわずかに残ったタンクの上部から非水溶性で絶縁性の高い灯油を高圧で詰め替える際、蒸気と空気との撹拌(かくはん)により発生する静電気の放電火花がガソリン蒸気に引火・爆発し火災が発生する場合があります。
・火災発生時、液比重(水と比べた比重)が1より小さい石油製品に棒状注水すると、水に押し流され、燃焼面積が拡大してしまうので、冷却消火(気化熱で冷却する)は適当ではありません。
・しかし、炭酸カリウムの濃厚な水溶液である強化液は、棒状で使用することができませんが、霧状にして使用すると再燃防止効果もあり、油火災に効果があります。
・動植物油類(天ぷら油)などは、引火時に液温が非常に高くなっているので、水をかけると水が激しく沸騰し、燃えている油を飛散させる恐れがあり、非常に危険です。(動植物油類のアマニ油は、脂肪酸の不飽和度が高く、ヨウ素価が大きい乾性油なので、ぼろ布に染みこませて通風換気の悪い場所に長期間積んでおくと酸化熱の蓄積により高温になり自然発火を起こす恐れがあります。油染みのついた衣類等を乾燥機にかけても危険です。)
※注意点、特殊引火物の中には、発火点が100℃以下のものもあります。
・二硫化炭素の発火点は90℃と非常に低く、高温体に触れると発火の恐れもあります。ジエチルエーテルやアセトアルデヒドのように日光でも容易に分解し、空気に触れただけでも加圧すると過酸化物を生成するものもあります。
消火設備の問題は、危険物取扱者試験では法令で出題されます。
製造所等に設ける消火設備は、施設の規模、形態、危険物の種類、倍数等から、設備の消火困難性に応じて3区分に分けられています(以下に区分を示します)。この区分に応じて、消火設備を設置しなければなりません。
移動タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、第1種販売取扱所
危険物の規制に関する規則 第四章 消火設備、警報設備および避難設備の基準(所要単位および能力単位)第二十九条 所要単位は、消火設備の設置の対象となる建築物その他の工作物の規模または危険物の量の基準の単位をいう。2 能力単位は、所要単位に対応する消火設備の消火能力の基準の単位をいう。(所要単位の計算方法)第三十条 建築物その他の工作物または危険物の所要単位の計算方法は、次の各号のとおりとする。一 製造所または取扱所の建築物は、外壁が耐火構造のものにあっては延べ面積(製造所等の用に供する部分以外の部分を有する建築物に設ける製造所等にあっては当該建築物の製造所等の用に供する部分の床面積の合計、その他の製造所等にあっては当該製造所等の建築物の床面積の合計をいう。以下同じ。)100平方メートル、外壁が耐火構造でないものにあっては延べ面積50平方メートルを1所要単位とすること。二 貯蔵所の建築物は、外壁が耐火構造であるものにあっては延べ面積150平方メートル、外壁が耐火構造でないものにあっては延べ面積75平方メートルを1所要単位とすること。三 製造所等の屋外にある工作物は、外壁を耐火構造とし、かつ、工作物の水平最大面積を建坪とする建築物とみなして前二号の規定により所要単位を算出すること。四 危険物は、指定数量の10倍を1所要単位とすること。
① 地下タンク貯蔵所: 第五種の消火設備2個以上
② 移動タンク貯蔵所: 自動車用消火器(第五種消火設備)のうちアワー粉末消火器またはその他の消火器2個以上
① 第四種消火設備: 30m以下
② 第五種消火設備: 20m以下
乾燥砂は、すべての火災に適応する。⭕️か❌か。
正解は ⭕️ 乾燥砂は、すべての火災に適応します。
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火災防止の関連する参考記事として、火災の予防や消火、救急、救助など国民一人ひとりが安心して暮らせる地域づくりに取り組む情報を発信している、 消防白書 (令和3年版)もご参考ください。
なお、topページから索引で該当箇所を見つけることができます。(2022年現在)
また、参考資料として、危険物施設における火災発生原因の推移等も併せてご確認ください。
危険物の規制に関する政令は、こちらe-GOV法令検索からご確認ください。
試験地:東京 願書受付:2024/12/05 ~ 2024/12/16 本試験日:2025/01/26 この試験対応の講習日▼ 2025/01/23 ~ 2025/01/25