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一心不乱!【物理・科学】引火点、発火点、沸点について合格のためのポイントを解説する!乙種第4類(乙4)引火点、発火点、沸点。
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第4類の引火性液体の燃焼の仕方は、蒸発燃焼です。
蒸発燃焼とは、液体表面から発生する可燃性蒸気が、空気と混合して燃焼します。燃焼可能な濃度(燃焼するのに十分な濃度)の蒸気を発生し始める液温を引火点と言います。引火性液体はすべて引火点を有します。
引火性液体でも、揮発性があると引火の危険性が高く詰め替え中に、静電気火花や金属火花で火災や事故を起こす危険性があります。(揮発性とは、常温常圧で蒸発すること)
空気中で加熱した場合(高温熱源等に触れた場合)、点火源がなくてもおのずから燃え出す最低の温度を発火点と言います。
液体を加温した場合、温度の上昇と共に蒸気圧が増大します。蒸気圧が外圧(標準大気圧=1気圧)と等しくなる温度を沸点と言います。
蒸気圧が外圧と等しくなり、気化が液体の表面からだけでなく内部からも激しく起こる現象を沸騰と言います。
通常、水は100℃で沸騰しますが、食塩(不揮発性物質)を溶かすと(蒸気圧は下降し)、加温しても蒸気圧は、なかなか1気圧に到達せず、沸点は高くなります。
沸点の低い引火性液体は、燃焼可能な濃度の蒸気を発生しやすいので引火点も低くなる性質があります。しかし、引火の危険性と発火の危険性は連動しません。(※ガソリンの性質と灯油の性質を比較してみてください。)
引火性液体とは、液体(第三石油類、第四石油類及び動植物油類にあっては、一気圧において、温度20度で液状であるものに限る。)であって、引火の危険性を判断するための政令で定める試験において引火性を示すものであることをいう。
灯油(危険等級Ⅲ)の引火点は、40℃以上であり、常温(20℃)では燃焼可能な濃度の蒸気を発生しません。灯油の通常の詰め替え作業中には引火しませんが、綿糸にしみこませたものや、霧状にすると、容易に着火する恐れがあります。(揮発性の低い重油であっても、震災時に流出した場合にがれきと混ざった状態で、日光等の放射熱で液温が上がり、尖ったものや金属等の衝撃により火災が起こる恐れもあります。)
消防法第13条第3項「製造所、貯蔵所及び取扱所においては、危険物取扱者(危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)以外の者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が立ち会わなければ、危険物を取り扱つてはならない。」と明記されています。
第4類の危険物は、引火点測定試験の結果により危険等級区分されています(危険物の規制に関する規則第三十九の二)。
法令・消防法9条の4で「指定数量」が定義されています。
消防法第9条の4 危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)法別表の品目の分類、指数量は必ず覚えてください。
第4類危険物の分類、指定数量は以下のとおりです。
特殊引火物:ジエチルーテル50L
第1石油類:ガソリン200L(非水溶性)アセトン400L(水溶性)
アルコール類:エタノール400L
第2石油類:灯油1,000L(非水溶性) 酢酸2,000L(水溶性)
第3石油類:重油2,000L(非水溶性) グリセリン4,000L(水溶性)第4石油類:ギヤー油6,000L
動植物脂類:アマニ油10,000L
第4類の引火の危険性は、以下のとおりです。
特殊引火物:-20℃以下(ジエチルエーテル、二硫化炭素、アセトアルデヒド、酸化プロピレン)
第1石油物:21℃未満(ガソリン、アセトン、ベンゼン、トルエン)
第2石油物:21℃以上70℃未満(灯油、軽油)
第3石油物:70℃以上200℃未満(重油、クレオソート油)
第4石油物:200℃以上(ギヤー油、シリンダー油
動植物油類:250℃未満(アマニ油、天ぷら油)
特殊引火物は、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他、1気圧で、発火点が100℃以下のもの、または引火点が零下20℃以下で沸点40℃以下のものをいいます。
アルコール類とは、メタノール(メチルアルコール)、エタノール(エチルアルコール)その他、1分子を構成する炭素原子数が1個から3個までの飽和一価アルコール(変性アルコール)のことをいいます。
飽和:単結合のみ一価:水酸基(ーOH)が1個変性アルコール:飲用できないように変性剤を入れたエタノール
ガソリンの燃焼範囲は1.4%~7.6%です。燃焼範囲とは、燃焼することができる可燃性蒸気と空気との混合割合(濃度範囲)をいいます。
引火性液体の蒸気は、濃すぎても薄すぎても燃焼しません。
ガソリン1.4%とは、100Lの容器中(蒸気と空気の混合気体100L)に、1.4Lのガソリン蒸気と98.6Lの空気が混合している蒸気濃度です。
燃焼範囲の下限界は、濃度がこれ以下になると燃えないという限界値です。下限界が等しい場合は、燃焼範囲が広い物質ほど危険性は大きくなります。
ガソリンを移送する移動タンク貯蔵所の上部から高圧で詰め替えると、静電気の放電火花で引火する恐れがあります。不導体である石油製品は詰め替える際は、静電気防止対策を実施する必要があります。
注入管の先端は、底部に着けて、流速を遅くし、金属製タンクは接地(アース)する必要があります。
一般的な石油製品の発火点は、100℃よりはるかに高く通常の取り扱い作業中に発火することはありません。(※特殊引火物には、発火点100℃以下のものもある。二硫化炭素の発火点は90℃です。)
しかし、ガソリンは、300℃以上の高温熱源に触れると発火する恐れがあります。
アマニ油(乾性油)をぼろ布に染みこませて通風換気の悪い場所に積み重ねると、酸化熱の蓄積により発熱し、発火点に達し燃焼に至る恐れがあります。(※油染みのついた衣類を乾燥機に入れても危険です。)
物質が空気中で常温において自然に発熱し、その熱が長期間蓄積されて、ついに発火点に達し燃焼を起こすに至る現象を自然発火といいます。動植物油は酸素と非常に結合しやすいため、酸化反応を起こし発熱しやすいです。したがって、放熱が盛んに行われ、温度も上昇しないが放熱しにくい場合、例えば、油のしみたボロ布を堆積しているときなどは、温度が上昇し熱が蓄積され、ついに発火に至ります。
自然発火の機構としては、次のような種類が考えられます。
・酸化熱による発熱(乾性油、鉄粉、原綿、ゴム粉など)
・分解熱による発熱(セルロイド、ニトルセルロースなど)
・吸着熱による発熱(活性炭、木炭粉末など)
・発酵熱による発熱(わらなど)
・重合熱による発熱(アクリル酸など)
鉄は、鉄板のような塊状では通常、燃焼することはありません。塊状の金属は、何t貯蔵しても設置許可は必要ありません。しかし、粉末状(パウダー状)になると、空気との接触面積が増えるため燃焼しやすくなります。(空気には保温効果があり、空気との接触面積が大きくなると熱伝導率が小さくなります。)消防法では、目開きが53μmの網ふるいを50%以上通過する鉄粉は危険物に該当します。500kg以上を貯蔵する場合は設置許可が必要となります。使い捨てカイロには鉄粉が使われており、発熱して温かくなるのは、酸化熱による発熱と同じ原理を用いています。鉄粉の酸化熱が蓄積され、発火点の400℃以上になると発火する恐れがあります。発火した場合は、金属火災は高温になるため、乾燥砂で窒息する消火方法が有効となります。
炎天下にガソリンを入れた携行缶を放置し、発電機の熱風で内圧の上がった携行缶から発電機に詰替える際に、吹き出したガソリンが花火を見ていた親子にかかり、ベビーカステラの調理中のガスコンロの火が引火し多数の死傷者が発生した。
関連記事を紹介します。元記事は以下のリンクのtopページを参考としてください。
花火大会で大爆発の悲劇
小田急線殺傷事件21年8月6日、東京都世田谷区の祖師ケ谷大蔵駅近くを走行中の上り線車内で36歳の男が刃物を振り回し、サラダ油を床にまいて火も付けようとしていた。20~50代の男女10人が負傷し、病院に搬送された。いずれも命に別条はなかった。
・定常燃焼(バーナー燃焼)・・・炎の位置や形状を制御できる予混合燃焼は、空気を混合させた可燃性気体を噴出する燃焼のこと。非予混合燃焼は、可燃性気体を噴出するときに空気と混合気体になる燃焼のことです。
・非定常燃焼(爆発燃焼)可燃性ガスと空気の混合気体に点火し爆発的に拡大し制御不能な燃焼の事です。たとえば、エンジン内のガソリンの燃焼などです。
・表面燃焼可燃性物質がその表面で、熱分解も蒸発も起こさずに高温を保ちながら酸素と反応する燃焼です。木炭やコークスが表面燃焼を起こします。
・分解燃焼可燃物が熱により分解し、このとき発生する可燃性ガスが燃焼するものです。木材や石炭が分解燃焼を起こします。また、4種の危険物ではありませんが、ニトロセルロースなど物質中に酸素を有するものの、分解燃焼は、自己燃焼・内部燃焼といいます。
・蒸発燃焼固体の加熱で、熱分解を起こさずに、そのまま蒸発し発生した可燃性蒸気が空気と混合後、燃焼します。硫黄やナフタレンが蒸発燃焼を起こします。
ガソリンは、電気をよく通すので、常に静電気防止対策は必要ない。⭕️か❌か。
正解は ❌ ガソリンは、電気の不導体であり、静電気防止対策が必要です。
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